人体と水の関係
2018.03.26

体から水分が抜けるとどうなる?水だけで生きられる日数は?

水を全く飲まないと人間はすぐに死んでしまうと聞いたことがあるかもしれません。水はなぜ大切なのでしょうか。体内での水の役割や、不足するとどうなるか、脱水を防ぐための方法について、ドクター監修の記事で解説します。

汗をかいたり乾燥した部屋に長い間いたりすると、喉が乾いて水を飲みたくなりますよね。暑い夏場に眠りから目覚めたときなど、ふと「喉が乾いているけどこのまま寝続けたらどのくらい生きられるのだろうか」と考えたことはありませんか?

言うまでもなく水は人体にとって大切ですが、それはなぜでしょうか。水の役割や不足するとどうなってしまうのか、また脱水症にはどのように気をつければよいのかなどについて、詳しく解説します。

人間は水だけで何日生きられる?

砂漠や海の上など、水が飲めない場所で遭難してしまった場合、どのくらい生きられるのでしょうか。人間の能力の限界を科学的に検証した、とある書籍によると「人間は断水すると約6日間しか生きられない」とあります。また、水だけ飲んでいる状態では50日間以上生きられるとしています[1]。水を飲むか飲まないかで生存可能日数に大きく違いがあるということは、水が人間の生命活動に大きく関わっていることを証明しています。人体にとって水とは、一体どのような存在なのでしょうか。

人体にとって水が重要なのはなぜ?

人体にとって水分が必要な理由は大きく分けて二つあります。水分は人体の細胞すべてが働き続けるために欠かせない存在であること、そして、摂取した水分が常に失われていることです。

水分は細胞が働くために必要不可欠

水分が足りないと、細胞は必要な栄養を受け取れず、さらに受け取った栄養を使えない状態になってしまいます。人間は細胞の集まりでできているので、細胞が働かなくなることで生命が危険にさらされるのは当然です。

体の水分の一部は、血液となって全身を巡っています。血液は細胞が働くのに必要な酸素や栄養を運んでいますが、水分が減って血液が少なくなると、細胞は必要な酸素や栄養をうまく受け取れなくなって各臓器に障害が起こります。また、細胞が代謝活動(受け取った酸素や栄養を生命エネルギーに変換すること)をするときは水やミネラルが必要になりますが、ミネラルを利用できる状態にするのにも水が必要となるのです。細胞の代謝は体温をつくるという役割も持っているため、水分が不足すると低体温症にも陥ってしまい、生命活動を維持できなくなります。

取り入れた水分は常に減っていく

水分が必要なもう一つの理由として、体内の水分が常に減っていることも挙げられます。残念ながら、人間は一度摂り入れた水分をずっと使いまわして生きられるようにはできていません。汗で体温を調節したり、尿や便で不必要なものを排出したりする必要があります。この汗や排泄だけで、毎日1.4リットルの水分を失っていると言われています。さらに、不感蒸泄(ふかんじょうせつ)と言って、皮膚や吐く息からも水分を失っています。不感蒸泄と汗、排泄を含めると、人間は毎日2.4リットルもの水分を失っているため、常に水分補給が欠かせないのです[1]。

このように聞くと、1日に2.4リットルの水分を摂り続ければよいように思えますが、そうではありません。「代謝水」と呼ばれる、人間が体内で作り出す水が毎日300ミリリットルほどあるため、それを差し引いた約2リットルが、食べ物・飲み物を含めた1日の必要水分摂取量となります。しかし、汗の量や排泄回数などで必要な水分量は日々変わるため、あくまで目安として知っておく程度でよいでしょう。

身近な水分不足の予防方法

水分は生命維持に必要不可欠であり、常に補給しなくてはいけません。水分が不足すると「脱水」という状態になりますが、この脱水を防ぐ方法についてもご紹介します。

脱水症とは

脱水症とは、体の水分量が不足してしまった状態のことです。不足量に応じて下記のようにさまざまな不調が現れます[2]。

  • 1~5%

喉の渇き、めまい、吐き気、ボーっとする、体が重く感じる、食欲減退、尿が減る、全身の脱力感、皮膚が赤くなる、イライラする、疲労感、精神不安定 など

  • 6~10%

手足のふるえ、ふらつき、頭痛、体温や脈拍、呼吸の上昇、幻覚が見える、呼吸困難、めまい、皮膚や粘膜が青紫色になる、言語不明瞭、けいれん など

  • 11~18%

失神、皮膚の弾力性低下、飲み込み困難、目がくぼむ、皮膚がひび割れる、尿が出なくなる

  • 20%

生命の危機

脱水症の原因

脱水症は、汗を多くかく夏場になりやすいイメージがありますが、実は冬でも脱水になる恐れがあるのです。下記のような原因が挙げられます。

  • 食中毒(感染性胃腸炎)による嘔吐、下痢
  • ダイエットによる水分摂取量の低下
  • 乾燥した部屋に長時間いる
  • インフルエンザなどでの発熱
  • 利尿作用のある飲み物(ビールなど)の飲み過ぎ

このほかにも、自力で水分補給できない乳児や老人にも脱水症のリスクが存在します。

脱水症の対処法

脱水症は体から水分が足りなくなっている状態なので、水分補給が最重要です。しかし水やお茶だけでは、汗や嘔吐、下痢に含まれるミネラルを補給できません。脱水症予防に最適なのは、腸が水分を吸収しやすくなる割合でミネラルを配合した「経口補水液」です。薬局やコンビニエンスストアで売られているので、手軽に入手できます。スポーツドリンクにもミネラル分は入っていますが、糖分が多めに入っているので飲み過ぎには注意してください。

食中毒による下痢や嘔吐のときは、経口補水液で水分を補給しつつ、症状が軽いものであれば市販の下痢止めなどを利用するのもよいでしょう。また、暑すぎたり乾燥しすぎたりする環境にいるときは、環境の改善も脱水症予防となります。

水は人体が活動を続けるのに欠かせない存在であり、常に失われているため定期的な補給が欠かせません。水の重要さについて知ると、水分補給の意識も変わるのではないでしょうか。喉が乾いたときはこまめな水分補給を忘れないようにしましょう。

参考文献

  1. [1]山崎昌廣ほか編. 人間の許容限界事典 (新装版). 朝倉書店 2015; 95-96, 878-879
  2. [2]田口素子ほか. "スポーツと栄養" 公益財団法人 日本体育協会.
  3. http://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/k1-5.pdf(参照2018-03-12)

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