腸の構造と役割
2018.03.26

下痢でお尻が痛くなるのはなぜ?大腸の働きと下痢の関係

下痢になるとトイレの回数が多くなり不自由な思いをしますが、排便時のヒリヒリ感に困る方も多いようです。なぜ下痢になるとお尻(肛門)が痛くなるのか、下痢が起こるメカニズムとあわせてドクター監修の記事で解説します。

下痢の排便時に起こる、お尻がヒリヒリと焼け付くような痛さは、とても不快なものです。トイレットペーパーでお尻を拭くときも痛くて、便意をもよおすたびに嫌な気分になりますよね。

健康なときの固形便では何も問題がないのに、なぜ下痢のときだけ痛みが生じるのか、下痢が起きるメカニズムや下痢を予防する生活習慣とあわせてご紹介します。

下痢でお尻がヒリヒリする理由

下痢の排便時にお尻がヒリヒリと痛む理由は、まさしく、肛門周囲の皮膚が傷ついているからです。下痢はほとんど液体のような状態で、皮膚を傷つけそうなものは何も含まれていないように思えます。しかし、下痢が肛門を通過するとき、皮膚の組織が溶けてしまっているのです。

お尻の皮膚を溶かしてしまう正体は、下痢に多く含まれる水分である「腸液」です。腸液とは、腸管壁から分泌される液体で、消化物が腸を通りやすくする役割を持っています。食べ物を消化するために使われる胆汁や膵液も含まれていますが、これらは腸内の消化酵素が働けるように弱アルカリ性の特性を持っています。

人間の皮膚表面は、バリア機能を保持するため、常に弱酸性に傾いています。しかし、弱アルカリ性の腸液を多く含んだ下痢便が付着すると、皮膚のタンパク質がじわじわと分解されてしまい、溶けたような状態になってしまうのです。その結果、下痢でお尻がヒリヒリする、というわけです。

なぜ下痢が起きるのか

下痢がお尻をヒリヒリさせる理由について説明しましたが、そもそも、下痢が引き起されるのはなぜでしょうか。下痢のメカニズムをご紹介します。

下痢が起きる仕組みは腸の水分吸収不足

食べ物・飲み物に含まれる水や胃液、腸液などの水分は、通常であれば腸壁で吸収され、便として排泄される頃には、腸に入ってきた水分の1%ほどしか残らないようになっています。しかし、この水分の吸収がなんらかの原因で邪魔されると、腸液を多く含んだ下痢として排泄されてしまいます。

腸の働きを乱し、水分吸収を阻害する要因には、下記のようなものがあります。

  • 消化物の水分や油分が多すぎて水分を吸収しきれない
  • 腸液の分泌が多くなり過ぎる
  • 腸の動きが早すぎて吸収が追いつかない
  • 腸が炎症を起こし腸管壁から体液が分泌される

腸の動きが乱れる原因

腸の動きを乱して下痢を引き起こす原因は多くありますが、代表的なものを紹介します。

  • 水分を吸収しきれなくするもの

暴飲暴食、人工甘味料、乳糖不耐症、吸収不良症候群 など

  • 腸液の分泌を増やすもの

食中毒や感染症の原因となる細菌、ウイルス、寄生虫 など

  • 腸の動きを早めるもの

ストレス、過敏性腸症候群(IBS)、香辛料などの刺激の強い食べ物 など

  • 腸の炎症を起こすもの

アレルギー、病気(例:クローン病、潰瘍性大腸炎) など

これらの原因による腸の不調は、常に一つ一つが独立しているわけではなく、複数の不調が絡み合って下痢を引き起こします。例えば、食中毒では腸の炎症も起こりますし、細菌が出した毒素で腸の動きが乱れることもあります。下痢の原因については、『下痢がちな人が気をつけるべき5つの原因とは』もご覧ください。

正常なときの大腸の働き

水分吸収は小腸と大腸の両方で行われますが、小腸ではそれに加えて栄養を吸収するという役割を持っています。大腸でもミネラルなどを吸収しますが、主な仕事は消化物の水分調節です。

大腸は小腸にくらべて太く、盲腸から始まり結腸、直腸と続き肛門へつながります。大腸の中で一番長いのが結腸で、小腸をぐるりと囲むように位置しています。結腸は消化物が進む向きによって、「上行結腸(じょうこうけっちょう)」、「横行結腸(おうこうけっちょう)」、「下行結腸(かこうけっちょう)」「S状結腸(えすじょうけっちょう)」に分かれています。

大腸は腸壁を囲んでいる筋肉によって、消化物を送り出したり滞留させたりして、腸内に留める時間を調節しています。そうして水分を十分に抜いてから、便として排出します。大腸だけで1日に約2リットル近くの水分を吸収していると聞くと、驚きですよね。そのため、腸の動きが乱れて過剰になってしまうと、消化物を早く送り出してしまい水分吸収が追いつかなくなって、下痢の症状が出るのです。

下痢を予防するために

不快な下痢を予防するには、普段の生活習慣の改善が役立ちます。前述の腸の動きを乱す原因で挙げた項目に心当たりがあるならば、それを避けることから始めてみましょう。

感染病が流行る季節であれば、手洗い、うがいを欠かさないことや、調理器具を清潔に保つことが大切です。傷んだ食品が下痢の原因になることもあるので、食品の保存方法にも気をつけてください。

万が一下痢になってしまったときは、脱水を避けるために経口補水液などで水分補給しつつ、軽度の下痢であればドラッグストアなどで購入できる下痢止め薬も有効です。

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