下痢が起きる原因と治療
2018.03.26

下痢がちな人が気をつけるべき5つの原因とは

頻繁に悩まされる方も多い下痢は、様々な原因があるのをご存知でしょうか。下痢の原因を、わかりやすく5つのタイプに分類しました。各原因のメカニズムや治療、予防についてドクター監修の記事で詳しくご紹介します。

お腹がゴロゴロと鳴ったかと思うと、急に便意が襲ってくる「下痢」。タイミングを選ばず発生する下痢は、頻繁に悩まされる方も多いですよね。

痛いお腹をおさえながら、「何か悪いものを食べただろうか」と思い返した経験をお持ちの方もいるでしょう。下痢の原因にはもちろん食べ物も含まれますが、様々な原因があります。治療や予防法もあわせてご紹介するので、ぜひ自分の状況と照らし合わせて改善に役立ててみてください。

下痢の原因(1)生活習慣

胃腸に良くない生活習慣は、下痢を引き起こす原因のひとつとなります。

食べ過ぎ、飲み過ぎ

胃腸は食べたものを消化・吸収して便として排泄します。暴飲暴食によってアルコールや脂っこい揚げ物など、胃腸にとって刺激が強いものを多く食べると、蠕動運動(ぜんどううんどう:腸が食べ物を送り出すための運動)が過剰に促進されます。そうして、食べ物の水分を十分に吸収しきれないまま排出されて下痢になるのです。

治療は腸の安静や、下痢止め薬の使用が有効です。背脂たっぷりのラーメンが大好きな方や、毎日の晩酌が習慣になっている方で、下痢を起こしがちなら食生活を見直してみましょう。

ストレス

昔からストレスと下痢の関係は指摘されており、試験の前日や重要な会議の前など、不安や悩みを感じたときに下痢を起こす方は多いようです。ストレスによる下痢には、「自律神経」という全身を調節している神経のひとつである「副交感神経」が関わっています。副交感神経は身体をリラックスさせる作用のある神経で、胃腸へは消化活動の促進を働きかけます。

日中に身体が起きているときは、緊張させる作用のある「交感神経」が優位になっています。交感神経と副交感神経は互いにシーソーのような関係になっているので、緊張状態が続いて交感神経が優位になり過ぎると、副交感神経が抑えられてしまいます。その結果、腸の働きが低下して下痢を起こしてしまうのです。

治療には下痢止め薬が有効ですが、不安や悩みを抱えやすい性格であるならば、できるだけストレスを溜めないようにリラックスできる時間を持ったり、心療内科や精神科に相談したりしてみてください。

サプリメント

サプリメントを日常的に摂っている場合、下痢の要因となることがあります。マグネシウムは、腸管の中で水分を引き寄せる作用があり、下剤の成分として利用されているほどです。マグネシウムは硬水にも含まれているので、ダイエット目的で硬水を飲んでいる方もこのタイプに当てはまります。

ダイエットサプリなどでは、不溶性食物繊維もよく使われます。不溶性食物繊維は適量であれば、便のかさを増して腸に刺激を与え、便通を整える良い働きを持っています。しかし、過剰摂取すると刺激が強くなりすぎてしまい、蠕動運動が亢進されて下痢になります。サプリメントは手軽に摂取できてしまうので、推奨された量を守り摂り過ぎに注意しましょう。

下痢の原因(2)食中毒(感染症)

傷んだ食べ物や、十分に清潔でない調理器具などから感染して起こります。細菌やウイルスの場合は、食べ物に限らず、感染者の触れたものや利用後のトイレなどからうつることもあります。

細菌

大腸菌や黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌など、多くの有害な菌が原因となります。症状も下痢だけで済むものから、嘔吐や発熱、血便が見られるものまで多彩です。有害な菌の出す毒素が水分吸収を邪魔したり、蠕動運動を促進したりして下痢を起こします。腸の組織自体を傷つけて下痢を引き起こす菌もいます。

治療としては脱水を防ぐために水分補給をしたり、状況に応じて薬を使ったりしますが、治まる気配が無いときや血便が見られるようであれば、自己判断で対処しようとせず、すぐに医療機関での治療を受けるべきです。予防は食品の適切な保存や調理時の十分な加熱、手洗い・うがいなどの感染対策が有効です。

ウイルス

生ガキから感染することもあるノロウイルスや、子どもがかかりやすいとされるロタウイルスなどがあります。これらのウイルスは感染力が非常に強いため、食べ物からの感染に限らず、身近に感染者がいるときも気をつけなければいけません。

ウイルスによって下痢になった場合はこまめな水分補給が重要です。ノロウイルスなら1~2日、ロタウイルスなら7日程度で自然と症状が治まります。どちらも寒い時期に流行するウイルスなので、冬は手洗いやうがい、家庭に感染者がいるならば吐瀉物や下痢の適切な処理に気をつけます。

寄生虫

赤痢アメーバやクリプトスポリジウムなどが原因となります。国内でも性行為などで感染しますが、海外で生水や加熱していないフルーツなどを摂取して感染することが多く、海外旅行者が気をつけなければいけない下痢の原因のひとつです。

赤痢アメーバは治療にメトロニダゾールという薬剤を使います。クリプトスポリジウムに対しては対症療法を行います。予防としては、特に海外旅行中は十分に加熱された食べ物を選び、水はできるだけミネラルウォーターを飲むなどしましょう。

自然毒

キノコやジャガイモの芽など、自然界に含まれる毒を自然毒と呼び、食べ物としてうっかり摂ってしまったときに下痢を発症します。自然毒は様々な種類があるので、症状も下痢と一緒に発熱や頭痛、けいれんなどが現れることがあります。

治療は症状にあわせたものを行ったり、毒素の種類によっては排出をうながすために下剤を用いたりするようです。山菜採りや釣り、家庭菜園が趣味の方は、見た目は美味しそうでも安全かどうかしっかり確かめてから調理してください。

下痢の原因(3)体質

特定の食品に体が過剰な免疫反応を示したり、分解する酵素を持てなかったりするときに下痢の症状が起こります。

アレルギー

卵や大豆など、特定の食品に対して身体が外敵だと認定してしまったものを摂取したときに起こります。アレルギー反応を起こす食品を食べることで、胃腸で炎症が起きて働きが低下し、嘔吐や下痢、腹痛などの症状が現れます。症状が現れるまでの時間も人によって異なり、その食べ物を食べて数分~30分後くらいに起きる即時型と、数時間~2、3日後に起きる遅延型に分かれます。また、大人よりも、子どもに起こりやすいです。

治療と予防は、原因となる食べ物を食べないことです。食後によく下痢を起こすという方は、アレルギーが関係している可能性があるので、下痢が起きた日の食事内容を記録しておくとよいでしょう。

乳糖不耐症

牛乳を飲んだ後におなかがゴロゴロして、下痢を起こす人は乳糖不耐症の疑いがあります。通常、ヒトの腸内には乳糖を分解できる酵素が存在していますが、乳糖不耐症の人はこの酵素を生まれつき持っていなかったり、年齢を重ねることで酵素が減ったりしています。また、感染性胃腸炎などで一時的に減ることもあります。

分解されずに腸を通過する乳糖は、水を引き寄せるので便に水分が多くなり下痢となります。また、ゴロゴロという音は、腸の中にいる微生物が乳糖を利用してつくりだした炭酸ガスによるものです。治療の基本は乳糖を摂り入れないことです。ミルクが必要な乳児への授乳には、乳糖を抜いた「無乳糖乳」を利用できます。

下痢の原因(4)感染症以外の病気

感染症以外の病気でも下痢を起こすことがあります。よく知られているものをいくつか紹介します。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群とは、腸自体に明らかな異常がないのに、腹痛や便通異常が長く続く病気です。人によって下痢になったり便秘になったりします。はっきりとした原因はわかっていませんが、ストレスや腸内細菌などが関係していると言われています。

ストレスや食事などの、腸の動きに影響を与える要素に敏感になってしまっているので、緊張したときや食事の後に症状が出やすくなります。食事や睡眠などライフスタイルの改善や、腸内細菌を整える薬などで治療します。

炎症性腸疾患

何らかの理由で、腸に炎症が起きる病気です。「クローン病」や「潰瘍性大腸炎」が含まれます。クローン病は口から肛門まで続く粘膜のどこにでも炎症が起こり得ますが、潰瘍性大腸炎の炎症部位は大腸の粘膜のみです。

どちらも慢性的な炎症を起こし、根気よく治療を続ける必要がありますが、生活リズムや食生活に気をつけることで、症状を抑えたままにすることができます。疲れやストレスを貯めないように趣味の時間をつくったり、暴飲暴食や香辛料などの刺激を避けたりします。

下痢の原因(5)医原性

薬など医療行為によって下痢を起こすことがあります。

薬の副作用

下痢と関係ない病気の治療目的で処方された薬が、下痢の原因となることがあります。よく知られているのが抗菌薬です。抗菌薬は有害な細菌を退治しますが、腸内細菌のバランスにも影響を与えてしまうのです。悪玉菌が増えて消化物が腐敗するようになると、腸の動きが過剰になってしまい下痢につながります。そのため、抗菌薬と整腸剤をあわせて処方する場合があります。

ほかにも、血圧を下げる薬や糖尿病、痛風の治療薬などの副作用で下痢の症状が出てしまうことがあります。

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