生活習慣
2018.04.27

食物繊維の摂り過ぎで下痢になるって本当?メカニズムや治療・対策

下痢の原因の一つに不溶性食物繊維の摂り過ぎがあります。不溶性食物繊維の摂り過ぎによって下痢になるメカニズムや、下痢になってしまった時の治療法、下痢にならない為の対策などについてご紹介します。

健康のために食物繊維をたくさん摂るようにしていたら、下痢が続くようになってしまったという方は少なくないかもしれません。便通をよくするイメージのある食物繊維ですが、逆に下痢を引き起こしてしまうとなると、理由が気になりますよね。

ここでは、食物繊維の摂り過ぎによってなぜ下痢になることがあるのか、また、下痢になってしまったときの治療・対策などについて解説します。

食物繊維の摂り過ぎで下痢になることがある

食物繊維は、「ヒトの消化酵素によって消化されない食物成分」と定義される物質で、水に対する溶けやすさの違いから「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分類されます。

不溶性食物繊維の特徴は、水分を保持する能力が高いことです。不溶性食物繊維は腸の中で水を吸着して便の量を増やし、大腸での通過時間を短縮させるために、便秘予防に効果があります。一方、水溶性食物繊維の多くは水に溶けるとゲルのようになって、消化管内容物の粘性を高めます。それにより消化物の滞留時間を延長したり、栄養素が拡散するのを抑制したりして、栄養素の消化吸収を遅らせたり阻害したりします。そのために、例えば糖尿病の予防や治療においては、ブドウ糖(グルコース)の吸収を遅らせて血糖値の急激な上昇を抑制するために、摂取を推奨されています[1]。

上記のとおり、食物繊維は消化吸収されず、不溶性食物繊維に関しては、水を含んで何倍にも膨らむため、腸を刺激して蠕動運動(ぜんどううんどう:腸が食物を送り出す動き)を活発化させ、下痢を起こしてしまうことがあります。また、不溶性食物繊維を含む消化されにくい食物繊維は、大腸において腸内細菌の発酵を受けると「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質が産生されます。短鎖脂肪酸は大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進することが知られているために、下痢の原因になると考えられています。

通常の生活では、不溶性食物繊維を摂り過ぎる機会は少ないのですが、一時的に多く食べたときや、サプリメントなどで過剰摂取したときに、下痢を引き起こす可能性があるという点を理解することが大切です。

食物繊維による下痢の治療・対策

食物繊維の摂り過ぎで下痢を起こしてしまったときに、どうすればよいかを紹介します。

腸を安静にして水分補給する

食物繊維の摂り過ぎで下痢になってしまった際の治療・対処法として、下痢は腸の働きが異常になっている状態なので、腸を安静にしてあげることが重要です。おなかを温めて、できるだけ安静にして様子をみましょう。正常な便に戻るまでは、消化吸収されにくい食物繊維などは避け、消化の良い食事を心がけることが大切です。

下痢が長く続くと、体内の水分や電解質が失われ、脱水症状を引き起こすこともあります。特に高齢の方や乳幼児では注意が必要です。下痢の時は、十分な水分補給を心がけるようにし、必要に応じて電解質も同時に摂れる経口補水液を使いましょう。経口補水液は、薬局やコンビニエンスストアなどで手に入れることができます。

止しゃ薬(下痢止め)を使う

症状がつらい場合は、止しゃ薬を使用することもできます。市販薬を利用することもできますが、様々な成分のものがあるので、主な成分について紹介します[2]。

  • 木(もく)クレオソート:腸の過剰な蠕動運動を正常化し、腸管内の水分量を調整します。
  • ベルべリン塩化物、タンニン酸ベルべリン:殺菌作用があり、腸の腐敗や異常発酵をおさえます。
  • 塩酸ロペラミド:腸の蠕動運動を抑制する効果があります。感染性下痢には使用できません。
  • タンニン酸アルブミン、次硝酸ビスマス:腸壁を保護して炎症をおさえます。

下痢にならないようにするための対策法としては、原因物質の回避、つまり不溶性食物繊維を避けるか、控えることが大切です。また、サプリや健康食品などを利用しているのであれば、摂取量を見直してみると良いかもしれません。

こんな下痢の症状が出ていたら要注意

発熱、吐き気、嘔吐、血便などの症状が伴う下痢は、感染症が疑われる場合があるため注意が必要です。このような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。その他の下痢の原因については、『下痢が起こるメカニズムや原因・治療・予防』にて詳しく紹介しているので、参考にしてください。

参考文献

  1. [1]坂井堅太郎編.エキスパート管理栄養士養成シリーズ13 基礎栄養学(第3版).(株)化学同人.2012.3.1.108-110
  2. [2]一般社団法人 日本OTC医薬品情報研究会. OTC医薬品事典2018-19 第16版. じほう 2018; 170

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