感染症(食中毒)
2018.03.26

O157による下痢の症状と治療・対策

O157といえば、食中毒の原因菌の中でも悪名高いのでご存知の方も多いでしょう。O157に感染するとどのような症状が現れるのか、治療や予防は何をすればよいのかについて、ドクター監修の記事で詳しく紹介します。

飲食店や学校などで、O157の集団食中毒が起きたというニュースを聞いたことがある人は多いと思います。実際、生肉や生野菜を食べた後に突然下痢が始まったら、自分も食中毒になったのかと心配してしまいますよね。

この記事では、O157に感染するとどのような症状が出るのか、そしてもしO157に感染していた場合の治療法や、感染しないための予防法を詳しく紹介します。

O157は大腸菌の一種です。大腸菌には有害なものと無害なものがいますが、下痢を引き起こすのは有害な「病原性大腸菌」に分類されます。O157は、その中でも「腸管出血性大腸菌」に属します。

O157による下痢の症状とメカニズム

O157に感染してしまった場合、3~5日の潜伏期間の後に下記のような症状が現れます。感染しても無症状の人、下痢症状だけで治る人など、感染者で症状の現れ方は異なります。

激しい下痢と腹痛

O157は、「ベロ毒素」と呼ばれる毒素を腸内で生産します。ベロ毒素が大腸の細胞に取り込まれると、取り込んだ細胞が死んでしまい炎症が起こります。その結果体液がしみ出して、腹痛をともなう水様便が頻繁に出るようになります。その後、組織の破壊が進んで腸管内で出血が起きると、鮮やかな血便が出ます。

発熱

O157では、人によっては熱が出ることもあるようです。しかし、高熱になることは少ないとされています。

その他の危険な症状

O157を含む腸管出血性大腸菌が恐ろしい理由は、生命に関わる合併症の危険性があるからです。特に乳幼児や、高齢者の発症リスクが高いとされています。

ベロ毒素は腸から血中にはいると血管の内側を傷つけて、血栓を引き起こします。そのため、毛細血管がたくさん集まっている腎臓で障害が起こり、腎不全(溶血性尿毒症症候群:HUS)に陥ってしまうのです。また、脳症を引き起こすこともあります。HUSも脳症も発症してしまうと治療が難しく生命に危険を及ぼすため、できるだけその前に治療を始めなければいけません。

O157に感染したときの治療法

症状や何を食べたかなどを調べて、O157が確認されれば治療を行います。基本的に、抗菌薬を投与します。下痢がひどいときは、脱水を防ぐために点滴で水分補給することもあります。

O157など腸管出血性大腸菌の感染の疑いがあるときは、毒素を体外に出せなくなる恐れがあるため、下痢止め薬や痛み止めなどの使用は勧められていません。すぐに病院を受診しましょう[1]。

O157の感染予防・対策

O157は1年中いつでも発生する可能性がありますが、特に夏場に注意が必要です。下記のようなポイントに気をつけてください。

調理器具や手指の消毒

調理や食事の前は、石鹸で手を洗いましょう。調理器具を消毒して清潔に保つのも大切です。生肉から感染することがあるので、包丁やまな板を生肉と野菜用で分けるなどします。

食品の加熱と保存

O157を含む腸管出血性大腸菌は牛肉や牛レバー、ハンバーグなどに混入しやすいため、調理時はしっかり加熱するようにしてください。75℃で1分間以上の加熱で死滅するとされています[1]。野菜も新鮮なものを購入し、できるだけ早く冷蔵庫や冷凍庫に入れます。調理時はよく洗ってから使いましょう。

感染者が身近にいる場合

感染者の便には、非常に多くのO157が含まれています。家庭に感染者がいる場合は、使用後のトイレや洗面所など、よく触れる部分を消毒するのが有効です。殺菌剤としては次亜塩素酸ナトリウム(台所用漂白剤に含まれています)が適しています。

O157によって起きる下痢について紹介しましたが、下痢の原因となるものは、ほかにも多くあります。『下痢がちな人が気をつけるべき5つの原因とは』で詳しく解説しているので、ご覧ください。

参考文献

  1. [1]厚生労働省. "腸管出血性大腸菌Q&A" 厚生労働省.
  2. http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177609.html(参照2018-03-16)

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