感染症(食中毒)
2018.03.26

ロタウイルスは大人も感染するって本当?症状や治療・対策

乳幼児がかかりやすいロタウイルスは、大人が感染することは無いのでしょうか。胃腸炎を引き起こすことで知られるロタウイルスの感染経路や症状、検査、治療、対策などについてドクター監修の記事で詳しく紹介します。

ロタウイルスと言えば、ノロウイルスと並んで嘔吐や下痢の症状を引き起こすウイルスとして有名です。乳幼児の感染が多く、保育園で集団感染が起きたニュースなどを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

大人は感染とは無関係に思えるかもしれませんが、実際はどうなのか気になりますよね。この記事ではロタウイルスの感染経路や症状、治療、対策などについてドクター監修のもとご紹介します。

ロタウイルスは大人も感染する?

乳幼児の感染が多いことで知られているロタウイルスですが、結論から言うと、大人も感染します。ただ、多くの成人では免疫ができているため、感染しても症状が出ない(不顕性感染)か、軽い症状で済んでいるだけなのです。

ロタウイルスは10個ほどのウイルスでも感染が成立するほど、感染力の高いウイルスです。衛生環境の整っている先進国でも、ほぼすべての人が5歳までに一度は感染すると言われています[1]。しかし乳幼児の期間に繰り返し感染することによって、徐々に免疫がつくられて感染のたびに症状が軽くなっていきます。そのため、成人では感染しても症状がほとんど現れないことが多く、一般に子どもの病気と考える人が多いのです。

しかし、大人になればずっと症状が出ないかというと、そうではありません。抵抗力の弱まっている高齢者だと乳幼児と同じく重症化しやすく、介護施設などでの集団感染が起きることもあります。

ロタウイルス感染症の感染経路と症状

ロタウイルスが感染する経路や、感染するとどのような症状が現れるかについて解説します。

ロタウイルスの感染経路

ロタウイルスは、12~5月に流行するウイルスで、感染してから症状が現れるまで1~4日の期間があります。ロタウイルスに感染すると、便や吐しゃ物の中に大量のロタウイルスが含まれるようになります。先述のとおり、ロタウイルスは少ない個数でも感染力を持っているため、トイレや嘔吐の後に手を洗ったとしてもウイルスが付着していて、その手が触れたものを通じて人の口に入り感染が広がります。

ロタウイルス感染症の症状

症状は突然の嘔吐で始まり、白っぽい水のような下痢を繰り返します。発熱や咳、鼻水が出るなどの風邪に似た症状が現れることもあります。多くの場合、1週間以内で回復します。

ロタウイルスに感染すると下痢が起こる理由は、ウイルスが腸の細胞を破壊するからです。腸は食べ物や飲み物に含まれる水分を吸収する役割を持っていますが、細胞が破壊されると水分吸収が行えなくなりそのまま排出されてしまいます。また、ロタウイルスに感染すると栄養の吸収障害も起こります。腸の壁は絨毛(じゅうもう)と呼ばれるブラシのような構造になっており、食物と接触する面積を多くして効率的に栄養を吸収できるようになっています。しかし、ロタウイルスによって細胞が破壊されると接触面積が少なくなり、食物がいつもより早く腸の中を通過してしまいます。その結果、栄養吸収が不足するのです。

ロタウイルス感染症の検査と治療

ロタウイルスの感染をどのように診断するのか、また、どんな治療を行うかについて解説します。

ロタウイルス感染症の検査

病院では、患者の症状や周りの人の感染状況からロタウイルス感染症を総合的に診断します。医師が必要と判断した場合に、便を使って15~20分ほどで結果がわかる検査キットを使うこともあります[2]。

ロタウイルス感染症の治療

現在のところ、体内のロタウイルスを退治してくれるような抗ウイルス薬はありません。そのため、下痢や嘔吐で失った水分を補給したり、体力が低下しないように栄養を補給したりする対症療法がメインとなります。下痢止めは症状の回復を遅らせることがあるので、使用は勧められません[2]。

自宅で療養しているときの水分補給は、ミネラルを含んだ「経口補水液」がおすすめです。ドラッグストアやコンビニエンスストアなどで購入することができます。スポーツドリンクにもミネラルは入っていますが、飲みやすいように糖分が多めに含まれているので、飲み過ぎには注意してください。

ロタウイルス感染症の予防・対策

ロタウイルス感染症の予防法は、ウイルスが入らないようにする方法と、ワクチンを打ってロタウイルスへの抵抗力を高める方法があります。

ウイルスを体内に入れない方法

手から口への感染が起こりうるため、手洗いの徹底は重要です。石鹸を使って、指の間や爪のすき間、手首などをしっかり洗うようにしましょう。

感染した乳幼児がいる家庭では、おむつの処理にゴム手袋を使って直接触らないようにしたり、捨てるときにポリ袋に包んだりしてウイルスが広がらないようにします。便や吐しゃ物で汚れたものは、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の塩素系漂白剤にも入っている成分なので、代用可能です。一般的に消毒にはアルコールがよく使われていますが、ロタウイルスにはあまり効果が無いので注意してください。

ロタウイルスの予防接種

ロタウイルス感染症には予防ワクチンが用意されていますが、大人は対象外です。チューブに入った液体を飲ませるタイプで、1歳未満の乳児に使用します。

この記事ではロタウイルス感染症について解説しましたが、下痢や嘔吐を引き起こす原因はロタウイルス以外にも多くあります。『下痢がちな人が気をつけるべき5つの原因とは』にて詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。

参考文献

  1. [1]藤井克樹ほか. "ロタウイルスの概要" 国立感染症研究所.
  2. https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2261-related-articles/related-articles-409/4475-dj4091.html(参照2018-03-19)
  3. [2]厚生労働省. "ロタウイルスに関するQ&A" 厚生労働省.
  4. http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/(参照2018-03-19)

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