感染症(食中毒)
2018.04.27

下痢を起こすクリプトスポリジウムとは?水道から感染する?

食中毒は細菌やウイルスだけが原因ではありません。「クリプトスポリジウム」という寄生虫の仲間が原因となることもあります。クリプトスポリジウム症の感染経路や症状、治療法などについてドクター監修の記事で紹介します。

具合の悪そうな男性

「クリプトスポリジウム」とは聞き慣れない名前ですが、原虫という寄生生物のひとつです。原虫とは単細胞の微生物であり、原生動物とも呼ばれます。ゾウリムシやタイヨウチュウ、アメーバなど、理科の授業で聞き覚えのある生物も、この原虫に含まれます。

原虫には色々な種類がありますが、人間に寄生して病気の原因になるものがあり、クリプトスポリジウムもそのひとつです。水道水を通じて集団感染を引き起こしたこともあります。この記事では、クリプトスポリジウムに感染するとどのような症状が出るのか。また感染経路や対策、治療などについてドクター監修の記事で紹介します。

クリプトスポリジウム症の症状

クリプトスポリジウムは数個~数十個が体内に入るだけで、感染が成立します。3〜10日程の潜伏期を経てから、下痢や腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などの症状が現れますが、人によっては無症状の場合もあります。下痢は1日数回程度から20回以上の激しいものまで様々で、入院が必要になることもあります。感染者の免疫機能が正常であれば、2〜3週間で自然治癒しますが、なんらかの理由で免疫機能が低下している人では、重症化の恐れがあるため注意が必要です。

クリプトスポリジウム症の感染経路

クリプトスポリジウムは、人以外にも牛や豚、犬や猫の腸に寄生していて、糞便と一緒に「オーシスト」と呼ばれる形態で排泄されます。クリプトスポリジウムは湿った環境の中では2~6ヶ月もの間、感染力を持っており、汚染された水や食物を通して人間の口に入り、感染が成立します。

クリプトスポリジウム症の予防や対策

クリプトスポリジウムは加熱、冷凍、乾燥に弱く、60℃以上または-20℃以下で30分間、常温の場合で1~4日間乾燥状態におかれると、感染力を失います。

クリプトスポリジウムは衛生設備や下水設備が整っていない地域でよく見られ、海外旅行時の下痢の原因となることもあるようです。海外で飲用水を飲む場合は、1分間沸騰させれば十分感染力を失わせることができるので、水は1分間以上煮沸して飲むようにしましょう。氷を作る時も同様に煮沸した水を使用してください。生ものは食べずに加熱調理し、食器も良く拭き乾燥させます。加熱、冷凍、乾燥には弱いですが、通常の浄水処理で完全に除去することは困難で、塩素消毒にも抵抗性であることから、水道水やプールには注意が必要です。

クリプトスポリジウム症は、治癒してからも1ヶ月間程は糞便内に本原虫が認められることがあります。家族内で感染者がいる場合は、入浴を最後にしましょう。また、糞便で汚れた下着やおむつは熱湯をかけてから洗濯することで感染拡大を防ぐことができます。

クリプトスポリジウム症の治療

基本は対症療法となっており、下痢が軽度の場合は食事制限をしたり失った水分や電解質を補給したりします。水分補給時は、電解質も同時に摂ることができる経口補水液が適しています。コンビニエンスストアやドラッグストアなどで入手できるため、クリプトスポリジウム症に関わらず、下痢を起こしているときの水分補給におすすめです。症状に応じて、腸の筋肉のけいれんをしずめる薬や、下痢止めなどを用いることもあります。

下痢の原因は、クリプトスポリジウム症以外にも様々なものがあります。『下痢が起こるメカニズムや原因・治療・予防』にて詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。

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