旅行前に準備すること
2018.03.26

旅行の持ち物に入れる薬の選び方

旅行時は、予期せぬ体調トラブルがつきものです。特に海外だとドラッグストアや病院が利用できるかわからないため、より準備が必要になります。旅行の持ち物に入れる薬の選び方や注意点についてドクター監修の記事で紹介します。

旅行中は予期しないアクシデントが起こりがちです。体調不良もその一つですが、せっかく立てた旅の計画が台無しになったら悲しいですよね。

この記事では、特に海外旅行中に起こりがちな体調不良にあわせて、持ち物に加えるとよい薬を紹介します。不測の事態にあわてず対応できるように、しっかり準備をしておきましょう。

旅行時に薬を持参するとよい理由

日本でドラッグストアやコンビニエンスストアで市販薬が売られているように、世界中のどこででも薬が入手できると思いがちですが、それは大きな間違いです。海外では言語の壁がありますし、普段使い慣れていない薬が自分の体質に合うかもわかりません。また、地域によっては売られている薬が粗悪品であったりニセ物であったりする可能性もあります。使い慣れた薬を用意しておくと、いざというときに自分を守ってくれます。

ちなみに、医師から処方されていて普段から飲んでいる薬があれば、もちろん持参してください。その場合は、旅行前に医師に旅行先と用意すべき薬(市販薬含む)を相談してみましょう。

旅行時に持参するとよい薬

旅行の持ち物に入れておくと役立つ薬の種類と主な成分を紹介します。

下痢止め

下痢は、海外旅行者がかかる病気の中で一番多いという報告があるほど、旅行中の体調トラブルとして馴染み深いものです[1]。

  • 腸に入った有害細菌を殺菌:アクリノール水和物、タンニン酸ベルベリン
  • 腸の動きを正常に戻す:木クレオソート
  • 腸粘膜の炎症をしずめる:タンニン酸アルブミン、次硝酸ビスマス
  • 腸内の有毒物を吸着する:ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム、天然ケイ酸アルミニウム、カオリン
  • 腸の蠕動運動を抑える:ロペラミド塩酸塩、ロートエキス

感染症や暴飲暴食、ストレスなど下痢の原因は様々ありますが、血便や発熱が見られるときは注意が必要です。病原体を体内にとどめてしまうことがあるので、腸の蠕動運動を抑える成分は使わないようにしてください。

かぜ薬

かぜ(風邪)は様々な原因によって起こる、呼吸器の急性炎症性疾患のことです。「かぜ症候群」とも呼びます。かぜのような症状が見られても、ほかの病気の可能性もあります。すべての薬に言えることですが、2~3日服用して症状が改善しない、もしくは悪化するようであれば医療機関を受診しましょう。

  • 解熱鎮痛成分:アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、エテンザミド、イソプロピルアンチピリン
  • 鼻水やくしゃみを抑える:ジフェンヒドラミン塩酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマチスチンフマル酸塩
  • せきを抑える:ジヒドロコデインリン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、ジメモルファンリン酸塩
  • のどの炎症を抑える:トラネキサム酸、リゾチーム塩酸塩、グリチルリチン酸
  • 漢方薬:葛根湯、桂枝湯、小柴胡湯、小青竜湯

痛み止め

頭痛や生理痛、歯痛、筋肉痛に効果があります。アセトアミノフェンは子どもにも使えます。

  • アスピリン
  • イソプロピルアンチピリン
  • イブプロフェン
  • エテンザミド
  • アセトアミノフェン

胃腸薬・整腸剤

胃部不快感や胃痛には、出過ぎた胃酸を中和したり分泌を抑えたりする成分が有効です。食べ過ぎや飲み過ぎには、消化液の分泌を促進する生薬成分が役立ちます。

  • 胃酸を中和する:マグネシウム、ナトリウム、ヒドロタルサイト
  • 胃酸の分泌を抑える:シメチジン、ニザチジン、ファモチジン
  • 消化液の分泌を促進(生薬):ニンジン、ケイヒ、コウボク、ソウジュツ、センブリ
  • 胃の粘膜を修復:セトラキサート塩酸塩、スクラルファート水和物、銅クロロフィリンカリウム、L-グルタミン

よい止め

旅行中はバスや船に長時間乗ることもあります。乗り物酔いしやすい方は、準備しておきましょう。

  • 感覚の混乱を軽減する:スコポラミン臭化物水素酸塩水和物
  • 吐き気を抑える:ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、メクリジン

旅行先によっては持参すべき薬・医療器具

衛生環境の整っていない地域では、虫による感染症のリスクがあるため、虫対策が必要になります。また、外傷を負ったときに清潔な水が利用できない地域では、傷口が化膿することもあるため、応急処置セットがあるとよいでしょう。

虫対策の薬

かゆみ止めは、患部の重症度によって使うべき成分が異なります。抗ヒスタミン剤はかゆみ止め、ステロイド剤は炎症止めです。ステロイド剤は、長期連用しないように注意してください。

  • 抗ヒスタミン剤:ジフェンヒドラミン、イソチペンジル塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン
  • ステロイド剤:プレドニゾロン吉草酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル
  • 虫除けスプレー
  • 蚊取り線香

応急処置セット

外傷を負ったときに使える主な救急用品を紹介します。救急セットとして売られているものを利用すると便利です。

  • ガーゼ
  • 絆創膏
  • テープ
  • ハサミ
  • ピンセット
  • 消毒薬
  • 綿棒

ちなみに、渡航地域によってはワクチンや予防薬が推奨・義務付けられているところもあります。厚生労働省検疫所の情報サイトで調べられるので、行く前に参考にしてみてください。

薬を持参するときの注意点

複数の薬を持っていくとき、薬剤だけをコンパクトにまとめておきたいところですが、パッケージのまま持っていきましょう。入国時に内容の確認が求められることがあります。また、下痢止めや酔い止めなど急に発症する病気の薬は、手荷物に入れておくと必要なときすぐに使えます。普段から処方されている薬については、お薬手帳や、薬剤師にもらう薬の説明文書を持っておくとよいです。

参考文献

  1. [1]日本消化器病学会. "旅行中の飲食に注意すべきこと" 日本消化器病学会.
  2. http://www.jsge.or.jp/citizens/travel(参照2018-03-20)

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