感染症(食中毒)
2018.03.26

食中毒の症状や原因・治療・対策

吐き気や下痢が起きると食中毒と疑う人は多いでしょう。生の肉や魚介類を食べた後はより不安になります。食中毒の原因物質ごとに、感染源となる食べ物や症状の違い、気をつけるべきポイントなどをドクター監修の記事で紹介します。

特に前触れもなく吐き気や下痢が起こると、「食べたものが悪かった(食中毒にかかった)のでは?」と心配になってしまう方は多いでしょう。実際のところ、近年では減少傾向にはありますが、2016年には2万人以上と未だに多くの人が食中毒で大変な思いをしているようです。

この記事では、食中毒で現れる主な症状と原因を、統計結果をもとにご紹介します。原因別の症状の違いや潜伏期間、回復までの期間についてもあわせてご覧ください。

食中毒ではどんな症状が現れる?

一般的に食中毒では、腹痛、下痢(軟便~水様便)、吐き気、嘔吐などの症状が現れます。原因物質によっては、発熱や血便などの重い症状が見られることもあります。

治療については、下痢や吐き気の症状が出る程度であれば、安静にして脱水しないように水分補給をしながら様子を見るので問題ない場合がほとんどです。加えて水分補給時は、下痢や嘔吐で失ったミネラル分を摂取できる「経口補水液」がおすすめです。また、腸の動きを止めないタイプの下痢止め薬を使ってもよいでしょう。市販薬の有効成分としては、木クレオソートやアクリノール水和物、タンニン酸ベルベリン、ベルベリン塩化物水和物などがあります。

ただし、上記のように発熱や血便があったりだんだん症状がひどくなったりするときは、早めに医療機関を受診してください。

よく発生する食中毒の原因と症状

2016年の統計から、食中毒の原因物質をランキング形式で紹介します。心当たりのあるものが入っているか、探してみてください[1]。

第1位:ノロウイルス(約11400人)

秋から冬に流行することでよく知られています。ノロウイルスに汚染された牡蠣などの二枚貝を生で食べたときや、生水を飲んだときに感染します。患者のつばや便、吐しゃ物に含まれたウイルスが手に付着して、それがドアノブやタオルを伝って口に入ることでも感染が広がります。潜伏期間は24~48時間で、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐が現れます。発熱することもありますが、あまり高くなりません。1~2日続くと回復します。

第2位:カンピロバクター(約3200人)

季節を問わず発生します。鶏がもっとも有名ですが、牛や豚でも肉を加熱不十分で食べたときに感染します。国内ではあまりありませんが、加熱していない生乳も原因になり得ます。潜伏期間は長く、2~7日ほどです。主な症状は発熱や腹痛をともなう下痢で、水様便から粘血便へと進行するのが特徴です。多くの場合1週間ほどで治りますが、抵抗力の落ちている人や乳幼児、高齢者では注意が必要です。

第3位:ウェルシュ菌(約1400人)

シチューやカレー、豚汁などの肉が入った煮込み料理に発生しやすい菌です。「嫌気性菌」という空気を嫌う菌の仲間で、大鍋で大量につくるときなどに増殖しやすい特徴を持ちます。40~50℃で増殖し、温度が下がるときに毒素を産生します。一度つくって冷えた料理を、40~50℃に温めたときに最も感染のリスクが高くなります。潜伏期間は6~18時間で、腹痛と下痢が見られます。予防法は、空気に触れやすいように料理をかき混ぜておくこと、保存はタッパーで小分けにすること、料理の再加熱時は50℃以上にして加熱したら早めに食べることなどです。

第4位:サルモネラ(約700人)

夏場に発生します。加熱が不十分な肉や鶏卵、ペットとの接触後の食事で感染します。潜伏期間は1~3日で、症状は嘔吐で始まり38℃以上の発熱や腹痛、水様便が3~4日間続きます。症状が激しい場合が多く、水様便は緑色っぽく見えたり血便になったりすることもあります。

第5位:ブドウ球菌(約690人)

おにぎりやサンドイッチなど、手で触る食品によく発生します。ブドウ球菌は人間の皮膚に常在する菌ですが、膿の中に最も多く存在し、手に傷があると食品の汚染リスクが高まります。増殖するときに毒素を産生して、加熱で毒性が失われないことが特徴です。原因食品を食べてから1~6時間と早い期間で発症し、激しい嘔吐や急激な腹痛、下痢が現れます。発熱はまれです。

第6位:大腸菌(約570人)

大腸菌と分類される菌は多く存在しますが、その中でも人間に害を与えるもので食中毒が発生します。生水や生肉から感染し、菌の種類によって症状は異なりますが水っぽい下痢や米のとぎ汁のような下痢、粘血便などが現れます。

第7位:クドア(約260人)

寄生虫の一種です。ヒラメに寄生することで知られており、お刺身やマリネを食べて発症するケースが多くあります。食べてから数時間で嘔吐や下痢の症状が出て、24時間ほどで回復します。

第8位:腸管出血性大腸菌(約250人)

先述の大腸菌の中で、「ベロ毒素」と呼ばれる毒素を産生するものです。悪名高いO157もこの中に含まれます。他の有害な大腸菌と同じく、加熱の不十分な食品から感染します。潜伏期間は3~5日で、水様便から激しい腹痛をともなう血便に移行します。生命に関わる合併症を起こすことで知られています。

第9位:腸炎ビブリオ(約240人)

夏場に魚介類を食べることで感染します。お寿司やお刺身などのほか、加工食品も感染源になります。潜伏期間は12時間前後で、激しい腹痛をともなう水っぽい下痢が2~3日続きます。発熱や嘔吐をともなうこともあります。

第10位:植物性自然毒(約230人)

よく知られたものだと、キノコやジャガイモの芽などが原因になります。腹痛や下痢、嘔吐が見られますが、毒の種類によっては他の症状も現れます。

食中毒の対策・予防

食中毒の主な原因は細菌やウイルスです。原因物質を増殖させないことや、殺菌することを目的に下記のポイントに気をつけるとよいでしょう。

  • 手洗いを徹底する
  • 生肉に触れた皿や調理器具が別の食べ物に触れないようにする
  • 肉や魚は十分に加熱する
  • 料理はできるだけ作りたてを食べる
  • 料理を保存するときは10℃以下
  • 料理の温め直し時も十分に加熱する
  • すっぱい臭いがするときや明らかに味が違うときは捨てる

参考文献

  1. [1]厚生労働省. "平成28年(2016年)食中毒発生状況" 食中毒統計資料.
  2. http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/H28jokyo_1-1-2.xls(参照2018-03-20)

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