下痢が起きる原因と治療
2018.03.26

下痢が起こるメカニズムや原因・治療・予防

誰でも一度は経験しているであろう下痢は、腹痛やときには吐き気・嘔吐なども伴い不快です。下痢が起きたときに薬は使ってよいのでしょうか。下痢のメカニズムや原因、治療、予防についてドクター監修の記事で紹介します。

下痢を起こしがちな方は、なぜ自分は下痢になってしまったのか、どんなことをすれば下痢の症状をやわらげられるのか、などについて気になりますよね。

下痢とは一体どんな状態をさすのか、下痢のメカニズムや原因、治し方などについて、詳しく紹介します。

下痢とは

下痢は英語でdiarrhea(読み:ダイアリーア)と言い、水分を多く含んだ便を指します。健康な便の水分量は60~70%程度ですが、それ以上となると軟便、下痢便、水様便になります。

下痢のメカニズム

下痢が起こるメカニズムには、腸での水分吸収が関係しています。毎日、人間の腸には食べ物や飲み物からの水や唾液、胃液などが流れ込んできます。その量は、驚くことに9リットルにものぼるのです。この9リットル分の水分を小腸や大腸から吸収して、最終的には0.1リットル程度の水分が便に含まれて排出されます。

下痢が起こるのは、この腸からの水分吸収が何らかの理由で上手くいかないからです。下記のような理由が挙げられます。

  1. 腸からの水分吸収が妨げられる(浸透圧性下痢)
  2. 腸に炎症が起きて腸管内に体液が滲み出てくる(滲出性下痢)
  3. 腸が出している腸液の分泌量が増える(分泌性下痢)
  4. 消化物の通るスピードが早すぎて水分吸収が追いつかない(過剰な蠕動運動)

この1~4のメカニズムが絡み合って、便中の水分が増えて下痢が起きます。

下痢の原因

下痢の原因にはどのようなものがあるか、詳しく紹介します。

食べ過ぎ・飲み過ぎ

適量では問題が無くても、暴飲暴食によって刺激を受けた腸で蠕動運動(ぜんどううんどう:腸が消化物を送り出す動き)が過剰になり、下痢を誘発します。この過剰な蠕動運動によって腹痛が起きたり、消化しきれない食べ物で腸内細菌が乱れてガスが発生し、おならが出たりします。下痢と食べる量の関係については、その人の体調や体質などで変わってくるので、自分が下痢を起こしやすい食べ物を覚えておくとよいでしょう。

  • 脂っこい食事(油分)
  • お酒、アルコール
  • 食物繊維(野菜や果物など)
  • ミネラルウォーター(硬水)
  • 香辛料(とうがらし、ニンニクなど)
  • 人工甘味料(キシリトール、ソルビトールなど)

生活習慣

不安や悩みが多く、ストレスを受けやすい環境にいると、自律神経が乱れて腸の機能が低下し、下痢を引き起こします。エアコンの効き過ぎた環境に長時間いるなどして、お腹を冷やすことによっても腸の機能が低下することがあります。サプリメントで下痢を引き起こすのは、マグネシウムや不溶性食物繊維などがよく知られていますが、手軽に摂取できてしまうので、摂り過ぎに注意しましょう。

  • ストレス
  • お腹の冷え
  • サプリメント

感染症

細菌やウイルス、寄生虫が、感染者の吐しゃ物や便、性交渉などを通じて感染することで起こります。細菌やウイルスの作り出した毒素が腸を刺激したり、粘膜に炎症を起こしたりすることで下痢になります。風邪の症状(発熱や頭痛、吐き気など)が見られることもあります。また細菌や寄生虫の種類によっては、血便や米のとぎ汁のような水っぽい下痢の症状が出ることもあります。医療機関での早めの処置が必要です。

  • 細菌
  • ウイルス
  • 寄生虫

食中毒(食あたり・水あたり)

食品や飲料水に含まれる細菌やウイルス、寄生虫などによって下痢を起こします。食あたり、水あたりとも表現されます。十分に加熱されていない食品や、清潔でない生水を通して体内に入ってしまいます。感染症の原因菌やウイルスと同じものが、感染者の調理した食品から通じてうつることもあります。

  • 細菌
  • ウイルス
  • 寄生虫
  • 真菌(カビ)
  • 自然毒(キノコや貝、ジャガイモの芽など)

体質

アレルギー反応を起こしてしまう食品を食べることで、腸の粘膜が炎症を起こし、胃腸の機能が低下して下痢を起こします。乳糖不耐症は乳糖を消化する酵素が少ないか、持っていないために起こる病気で、未消化の食べ物が便の水分を増やしてしまいます。セリアック病を発症している方は、小麦粉や大麦に含まれるグルテンを摂取すると、腸が栄養を吸収できなくなり、下痢を引き起こします。

  • 食物アレルギー
  • 乳糖不耐症
  • セリアック病

その他の病気

感染症や体質によるもの以外の病気では、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)や膵炎、過敏性腸症候群などがあります。

  • 過敏性腸症候群
  • クローン病
  • 潰瘍性大腸炎
  • 膵炎

医原性

薬など医療行為によって下痢が起こることがあります。副作用として下痢の症状が出てしまう薬や治療には、下記のようなものがあります。

  • 抗菌薬
  • 抗がん剤
  • 免疫抑制薬
  • 痛風発作予防薬
  • 放射線治療

下痢の原因については、『下痢がちな人が気をつけるべき5つの原因とは』でも詳しくご紹介しています。

下痢の治療

下痢になってしまったときの治療法を紹介します。

下痢治療の基本

もっとも大切なのは、水分補給です。下痢が続いているときは、身体の水分だけでなく、必要なミネラルも排出されてしまいます。そのため、ミネラルを含んだ経口補水液を定期的に摂取することで脱水を防ぐことができます。腸の安静も重要です。可能なら横になって安静に過ごしましょう。

下痢のときに食事は大丈夫?

腹痛が続いている、痛みはなくても下痢がある、など不快な症状が続いている場合は無理に食べる必要はありません。食欲があれば食事は問題ありませんが、味の濃いものや脂っこいもの、香辛料をたくさん使うものなど、胃腸にとって刺激の強い食品は避けるべきです。

おすすめは消化の良い食べ物や、水溶性食物繊維を含んだものです。腸内環境を整えてくれる乳酸菌を含んだヨーグルトなども良いでしょう。下記のような食材をメニューに入れてみてください。

  • おかゆ、雑炊、よく煮込んだうどん、そうめん
  • 豆腐、卵
  • すりおろしたりんご、ヨーグルト

下痢のときに下痢止め薬は使ってよい?

ドラッグストアに行くと、下痢止めの薬がたくさん売られています。基本的に、下痢止め薬は食べ過ぎ、飲み過ぎによる下痢に使う分には問題ないでしょう。しかし、強い腹痛が続いたり、嘔吐、血便などが出たりする感染性の下痢には使うべきではありません。そのような場合は、すぐに医療機関を受診してください。

下痢の予防

下痢を起こしがちな方は、生活習慣の改善で下痢を予防できます。

生活習慣

暴飲暴食は胃腸に負担をかけるばかりか、肥満やメタボリックシンドロームのリスクまで高めてしまい、良いことは何もありません。ご飯もお酒もほどほどを意識しましょう。また、腸に刺激を与えやすい油分や香辛料も、食べ過ぎに注意してください。ガムや飴にふくまれる人工甘味料は、通常食べる量なら問題ありませんが、習慣的に摂取していて下痢で困っているなら量を見直す必要があります。

勉強や仕事で常に忙しくしている方や、人間関係に悩みがちな方は、ストレスをためやすい傾向にあると言えます。息抜きする時間を意識して持ってみたり、誰かに話して他人の助けを得たりすることは下痢改善に有効です。心療内科や精神科への相談も検討してみてください。

感染予防

感染症による下痢予防には、手洗いやうがいなど基本の感染対策が欠かせません。加熱が必要な食品は十分に加熱する、生野菜は清潔な水でちゃんと洗う、なども有効です。身近にウイルス性下痢症にかかった人がいるときは、嘔吐や用便後の素早い撤去、消毒を心がけましょう。また、海外旅行に行ったときなどは屋台の料理や、お店で使われている水にも気をつけてください。

下痢の予防については、『下痢を予防する生活習慣』でも詳しく紹介しているのでご覧ください。

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